瑠璃子は感じていた・・・
その日も下高井戸の町が瑠璃子に喰われたがっていると・・・
その身を瑠璃子への供物に差し出したがっていると・・・



というわけで、麗らかというよりちょっちアチーぜ、な2010年10月16日・土曜日の下高井戸は、ペロリと瑠璃子の餌食になりました。
今日の下高井戸は午後一時頃から、日大通りをドトールの前で左に曲がった右手、さか本そば店を中心にして丸ごと瑠璃子に食べられてしまいました。
食べられるときの下高井戸は、いつも官能的な魅力に溢れかえっています。
甘い口付けを交わすときのように恍惚の表情を浮かべ、よじった姿態の内腿がほの暗く、瑠璃子の嗜虐心をあおります。



そんなわけで今日は、下高井戸を知ってからというもの、入ってみたいような入ってみたくないような、のどに刺さった小骨のように妙に気になる存在だった「さか本そば店」にお邪魔することにしてみました。


この店、「休憩にご利用ください」と看板を出していて、タクシーの運転手さんなんかが昼下がりのひと時を爪楊枝咥えて転寝してすごすのだろうか。

間口が通常の店の五倍くらいあり、百人くらい平気で収容可なんではなかろうか。その割にはお客の姿を見たことがあまりない。
とにかく謎の店だ。オラ、わくわくしてきたぞ。


「ちわーす、瑠璃子で~す」
と奥の調理場の方へ声を掛けながら引き戸を引くと、すぐ右の戸袋のほうから
「いらっしゃい」
と声が返ってきて、瑠璃子仰天!!
見るとそこにはレジがあり、おばあさんが坐ってこっちを見上げている。
どうやらこの店はまずここでお金を払って、好きな席に就く前払い制のようです。
「マクドナルド終了のお知らせwww」とともに下高井戸から消えたファストフード式の前払い制が、こんなところに生き残っていたとは!


しかし壁一面を多い尽くすメニューの多さのせいで、にわかに注文を決められない。
丼が食べたかったので、あてずっぽうで「さか本丼」を頼んでみた。
「えっと、さか本丼はいくらだっけ」と、レジ係のおばあさんにとってもメニューが多すぎるようだ。

850円。
どんな下高井戸が食べられに来るのかしら。わくわく。
調理場から少し離れた小上がりに胡坐をかいて、本日の供物をお待ちする。



十分後、連行されて来たのがこれ。


「さか本丼」850円
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沢庵とお味噌汁がついている。
ご飯に載っているのは、豚を炒めたものと、海老天と、豚カツだ。
その全体がカツ丼風のたまねぎと卵とでとじてある。

なんか面白いぞ。



味付けは割と濃く、しょうゆと甘みが強い。
たまねぎと卵がふんだんに使ってあって、沢庵の出番がなさそうだ(沢庵もおいしかったから全部食べたけど)。
海老天の海老もなかなか立派。豚カツは8ミリ程度の厚さでテニスコート100000分の一程度(つまり5×8センチくらい)のものが数切れに切り分けられている。
途中海老の脇のたまねぎの下からウズラの茹で卵が飛び出してきて、思わず瑠璃子が下高井戸を孕ませてしまったのかと焦ったあせる


はじめは璃子しかお客がいなかったけど、三々五々おじさんたちが集まってきて、
「カレー一個」
「チキチキ南蛮」
と威勢のいい声で注文してから、思い思いの席でスポーツ新聞を広げている。

店を出るときに見たら枝豆でビールのおじさんもいた。
ここはそういう世界である。
これは馴染み易そうな・・・

また逢おうぞ!さか本そば店!!