こんなはずではなかった。
どんなはずでなかったかというと、・・・


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まさか・・・

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こんなに・・・

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食べ尽くすことに・・・

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なろうとは・・・

一枚目:ピータン豆腐、豚肉とニンニクの芽炒め、鶏肉のサクサク揚げ
二枚目:牛肉レタスチャーハン
三枚目:豚の串揚げ
四枚目:海老のチリソース



全ての発端は、瑠璃子の妹分にしてリアル妹でもあるゾル豚中将(ぞるとんちゅうじょう)がやってきたことであった。

「何か食いに行きやしょうぜ、姉貴」
「おう、ちょうどいいところに来た」
「げへへ、そろそろ姉貴も一人飯が寂しい頃じゃねえかと思って来やした。下高井戸の旨いドコロの二つや三つ、あっしに奢ってくだせえよ」
「バカやろう、手前の食い代くれぇ手前で何とかしろい。が、ちょうどよかった、二人分の胃袋と二人分の財布がありゃあ、いっちょ派手にぶちあげてえ席がある・・・」

というわけでゾル豚中将が遊びに来たせいで、皇庭餃子房の特選安売りメニューを貪り喰らうことになってしまった。
こまった妹である。

で、プチ満漢全席風、というか、豪華な夕食。
瑠璃子は二日続けての皇庭餃子房。キャンペーン品目しか頼まないイヤな客と思われてしまったかもしれないが、そんなことでめげるような瑠璃子ではない。残酷な運命にもてあそばれるのは慣れている。

ビール中瓶で乾杯、ザーサイをつまみに出してもらい、ピータン豆腐と鶏肉のサクサク揚げ、豚肉とニンニクの芽炒めを賞味する。
ゾル豚中将はかつて中華料理が好きではないといっていたが、最近はすっかり大丈夫になったようだ。
ピータンを食べていれば幸せと頬を緩めている。

鶏肉のサクサク揚げもカラリと軽く揚がっていて、ビールのつまみに最適。
ニンニクの芽炒めも、ニンニクの芽と豚とタケノコの三位一体が、神の千年王国ならぬ中華四千年の歴史をまとって輝いている。端的に旨い。

中将たっての願いで、昨晩も食べた牛肉レタスチャーハンをとる。
相変わらずどっしりとした米とレタスの魔力を感じる一品だ。
ついでにエビチリも食べたいというが、それではあまりにも昨晩の瑠璃子の晩餐と同じ内容である。

エビチリを許可する代わりに、こっちはこっちで新規開拓を目指そう。
豚の串揚げというのを注文してみる。
まあ串カツのようなものだろうと思って待っていると、予想より遥かに洗練され、よりボリュウミイで、より酒の肴となりそうな一皿が到着した。
焼き鳥よりも大振りに切った豚肉が、一片一片爪楊枝の先に引っ掛けられて、そのまま揚げられている。
肉の先から頭を出している爪楊枝をつまんで、前歯ですっと引き抜けば、口中に広がる豚の祭典。
手に残った爪楊枝を突き上げ、長崎くんちでも踊りだしたい香ばしさだ。
これは相当にハイセンスだぞ。
味と見栄えがアウフヘーベンされて、中華帝国の食の歴史がこの一皿に流れ込んだような楽しさだ。

食べ過ぎて油が胃に重くなってきてもいたので、卓上の酢を串揚げの上に落とし、軽く胡椒も振ってみる。
また別の豚の舞い踊りが舌を激しく喜ばせる。

油を紹興酒で流して、中将と瑠璃子大納言の激しい一夜は終わった。

どれもこれもセール中の料理だったので、二人で〆て4000円あまり。


中華皇帝に三跪九叩頭。