時に高校生の「大人」な言動に驚く。
なんというか、今の自分の人間関係が抱える問題や面倒くささの解決を未来に託すでもなく、過去を恨むでもなく、現実のものとして割り切っている。
良くも悪くも素直な自分の身の丈にあった言動というか。

昨日見た光景。
瑠璃子は昼食後の疲れをとあるスーパーのベンチで癒していた。
そのベンチは喫煙所の近くにあり、隣のベンチでは上下ジャージの髪の長い高校生くらいの女の子が素足にサンダル履きでタバコを吸っている。
あてなく住まいを這いだしてここで時間をやり過ごしている感じだ。
そこへ早すぎる下校をしてきたはみパン男子高校生が靴をスリスリやってきて、
女「お、」
男「お?、あー!!えっと誰だっけ、そうだ大輔の元カノじゃん!」
女「ww大輔、元気?」
男「高校別だから知んね。てか君名前なんだっけ」
女「名前?んなもんどうでもいいよ。忘れたんならそのままでいて」
男「あ、そう。そのカッコ、高校行ってないの?」
女「ま、ね。家でゴロゴロしてる」
男「嘘つけww金持ちのカレシに貢がせてんじゃねーの」
女「ねーしww」
男「バイトとか?」
女「してない」
男「じゃあ体売ってるとか?」
女「まぢねーしwwww」


名前なんかどうでもいいという割り切り(警戒?)、体売って生活してるの?という素直すぎる質問。
瑠璃子はなんだか「すごいなあ~」と感嘆したは。

もし瑠璃子が友人の昔の恋人に出会ったらどんな反応をするだろう。
まず相手の名前を忘れてしまっていることに狼狽し、
「あ、お久しぶりです、○○の友人瑠璃子です」
と相手が名乗ってくれるよう誘いの挨拶をし、
「えーと、最近忙しくて会えてないから○○が今どうしてるかわかんないです…。学校が別れちゃうと会うこと全然ないし…」
といいわけをするだろう。
この人日頃何をやってるのかなと思っても、「大変そうですね~」と当たり障りなく自分の好奇心を押し込める。
思えば一期一会の偶然の邂逅に過ぎないないわけで、名前を覚えていても呼び合うわけじゃないし、大輔や○○の消息を知らないのはお互い様なわけだし、どのように暮らしているのかくらい、気軽に話せなくては話の糸口も見つからない。
「名前も覚えてないほどわたしには興味ないわけね」と笑われ「友情をおろそかにするやっちゃ」と呆れられ「性的なことばかり考えてるエロ猿かよ、今にわたしをナンパしだすか?」と軽蔑されてこちらの日頃の地金が露呈するとも、実際自分の地金がそんなものであるならば、一期一会の他人相手に取り繕うことには何の意味もない。
だいたい相手もこちらの名前に興味はなく、昔の恋人を思い出すこともなく、やることないまま日暮らせば性的好奇心だって高ぶりもするだろう。
そんなわけで大輔を介した淡い関係の二人をみていて、実に明け透けで、お仕着せのやりとりを放擲していて、自分の地金を押し出していて、これは大人だなと思わされた。
「名前なんて忘れたなら忘れたままでいいじゃん」
するりとそんなことばが出る人に瑠璃子はとてもかなわない。
彼らがそれで幸せであるかどうかは自ずと別の話だけれど、どうせ瑠璃子も幸せの在処をわからないまま日々悶々と暮らしているのだから、これはイーブンな状態で
「すごいな」
と皮肉なく感嘆した。

まあだからなんだという話なんだけど。