東京チカラめし新宿西口1号店 ガーリックねぎ牛丼380円
ムーンライトながらの関西旅行 番外編
うとうとして眼が覚めると女は何時の間にか、隣の爺さんと話を始めている。
東京に着いたらしい。三四郎ならぬ瑠璃子は重い頭を振り振り、車外にまろび出た。
寒い。
朝五時の東京はまだ夜の暗さだ。
それでも駅の中には人が行き交っている。
瑠璃子の心にぽっと灯がともった。
「ああ東京も捨てたものではないかもしれない」
今なら一番嫌いな町・新宿も愛せるかもしれないと思った。
新宿。
ここで少しお腹に何か入れようかしら。
歌舞伎町方面は止め処ない悪の祝祭にはまり込む可能性があるので、ヨドバシ裏手で天下一品でも食べてみようかと思う。
半日前に食べた総本店との味比べだ。
ところがやっていない。
仕方ないので先日から気になっていた「東京チカラめし新宿西口1号店」に入ってみた。
最近勢力を伸ばしている牛丼屋らしく、しかし牛丼といっても醤油で煮込んだ例のものではない。
「焼き牛丼」と称し、カルビのような焼肉を盛った牛丼らしいのだ。
店内に入ると券売機。
仰々しいタッチパネル式。
白米に牛肉だけが載っているのはいかにも見栄えが悪いので「ガーリックねぎ牛丼」を。
お味噌汁も付いてきて、冷えた身体に染み渡る。
紅生姜の代わりにガリが置かれており、その他ソース類も豊富。
そうね、美味しいといえば美味しい。
が、従来の牛丼に比べると「家庭で再現できる度」が極めて高い。
牛丼の味は牛丼屋でなくては食べられない味だが、焼き牛丼は焼肉屋でも食べられるし家でも作れる。
その辺、どうにもアレであるな、と思いながら食べきった。
またしてもお腹が重いよう(ノ_-。)
瑠璃子、このままじゃ「滅びるね」だわね。
「東京」チカラめしの名前がたたったのだ、やっぱり東京は嫌いよと八つ当たり的に思って関西旅行終わり。