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高級回転寿司「魚屋路」下高井戸店。店名は「ととやみち」と読むらしい。


この物語は、ノドグロの握りを愛してやまない美少女瑠璃子が、近所の寿司屋で偶然それを発見するも、残念ながらその日は欠品だったという悲劇の叙事詩である。



瑠璃子が愛してやまない寿司ネタがある。

ノドグロ!!

ああ、ノドグロと聞くだけで喉から手が出るグロテスクな形相になりそうなほど、ノドグロの握りは美味しい。
あんなに美味しい寿司ネタはこの世にほかにはありゃしない!

…とか言いながら、実はノドグロを知ったのはほんの最近のこと。
今のところ握りを2貫、刺身を数片食べたことしかございましぇん。てへ。


昨年の春先、金沢へ遊びに行った。町の魚市場でやたらに「ノドグロ安いよ安いよ」と声が上がっているのを聞いて、初めてノドグロという名を知りました。

「ノドグロ?なにそれ魚?ふうん。やたら高いわね、阿保くさ。いくら旨いといったって、松坂牛のようにビールを飲ませて養殖するでもなし、刺身ならば高級調味料代や一昼夜煮込む手間賃もかからないでしょうに、それでもこんなに高いのは漁協の犯罪的謀略に違いないわ」

そんなわけで食べるつもりはなかったのだけれども、二泊の間中、ひっきりなしに「ノドグロ」「ノドグロ」と聞かされれば、ノイローゼにもなるものであります。

「わかったわかった!そんなにいうなら食べてやるわむかっ!そして散々にけなしてやるわよ。ショックで金沢新幹線が中止になるようなひどい罵詈雑言をこの町に浴びせかけてやるわ!」

…で、食べてみたんですよねぇ。
市場の回転寿司屋という良いのか悪いのかわからない微妙な選択だったにもかかわらず、これが、震えるほどに美味しかったんですよねぇ。
海援隊の母に捧げるバラードが「今も聞こえるあのおふくろの声」ならば、ノドグロはこの記事を書きながら「今も舌によみがえるあのノドグロの味」だわよねぇ。

鯛の淡泊さとハマチの濃密っぷりを併せ持つとでもいいましょうか。
お寿司を食べて溜息しか出なかったのは後にも先にもノドグロだけ。

瑠璃子はすっかりノドグロ信仰にはまり込みました。

※参考画像・金沢のノドグロ握りであります。
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…東京に帰ってきてもしばらくは頭の中はノドグロのことばかり。
「ノドグロはありませんか…ノドグロはありませんか…」とマッチ売りの少女よろしく手当たり次第に寿司屋・魚屋の戸を叩き暖簾を跳ね上げ、しかしそしてわかったのは、
「東京でも探せばノドグロもあるところにはあるが、あるところは高いところである」
なんて冷酷な事実。そんな金あらへんがな。

実は下高井戸の魚屋さんでも二度ほどノドグロのお造りを見かけて、亭主を質に入れる意気込みで買って来て食べたのでございます。しかし、どうも味が足らない。鮮度以外にも、酢飯とのハーモニーがノドグロのポテンシャルエナジーを引き出すってことなんでしょうねえ、刺身だけだとどうしてもパンチが弱い。Nodoguro feat.SUMESHIが俺たちのハートに火をつけるのさ。
昨夏、下関を訪れた際にも、下関のデパ地下で安いノドグロを見かけたけれど、リスペクトするSUMESHIがいなかったから泣く泣くあきらめたのでありました。
かくして瑠璃子は「ノドグロの握り恋しや、ほうやれほ」と「山椒大夫」作中の人物になったように深い悲しみに包まれて生きていたのでした。


さて、ようやく本題。
で、本題はすぐに終わります。


先日、甲州街道をテクテクと散歩していたら、桜上水駅を超えたあたりで回転寿司屋に出くわしました。
「魚屋路」(ととやみち)下高井戸店。
元はファミリーレストランだったろう造りのお店。
見ると
「ノドグロ」
と幟が立っている!!!!!!!!


うわあ!うぎゃあ!これはとうとうおいでなすった!と、直ちに行軍を中止して入店。
午後三時という微妙な時間帯で、ほかにお客さんは無し。ベルトにお寿司も回っていません。
「…やってますか?」
「やってますよ!」
興奮に足をもつれさせながらカウンターに陣取り、ふと、何の気なしに、
「ノドグロ、ありますよね…?」
「申し訳ない、今日は入荷がないんですよお」


ああ!
安寿恋しや、厨子王恋しや。ノドグロ恋しや、ほうやれほ…
瑠璃子の悲劇はこれからも続く…

入荷無いなら幟はしまっておきなさいむかっ
ああ、そうそう、金沢新幹線、早く開通しなさいむかっむかっ



魚屋路 下高井戸店
昼総合点★★☆☆☆ 2.5

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