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下高井戸駅に「貴婦人と一角獣」展のポスターが。
久しぶりに中世ヨーロッパの雰囲気にまみれたくなり、六本木へ。
会場は閑古鳥。もったいない。狙い目です!

東京:2013年4月24日~7月15日@国立新美術館
大阪:2013年7月27日~10月20日@国立国際美術館





遠い昔、絵画展に興味はありませんでした。
もっぱらの関心は博物館等の「モノ」系展示ばかり 。

それが数年前にガラッと入れ替わり、絵画展が大好きに。逆に物の展示はなんだか楽しめなくなりました。
上野で通う場所は東京国立博物館から西洋美術館に。 
加えて府中の市立美術館や京橋のブリヂストン美術館。 

そして最近はすっかりそのどちらとも縁が薄くなっていましたが、「貴婦人と一角獣」展のポスターに何かビビビっとくるものが。
「空いているならば行ってあげても良い」と上から目線でインターネット検索。
ド混雑の様子はなかったので、いっちょ六本木まで出かけることにしました。


雨が降っても六本木は六本木。死の町の匂いが濃く、やっぱりスカシタいけ好かない町です。 
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小道をたどって国立新美術館に到着。久しぶりの訪問。
調べてみたら2007年の「日展100年一目でわかる!日本の美術この100年」以来でした!
ビックリです
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黒川紀章の波打つ緑の建築は案外好み。
中に入ると、空間の中にソフトクリームのコーンみたいな小空間がある構造で、高い吹き抜けが解放感ばっちり。建築学科の学生なのか、写真を撮っている人がたくさんいました。
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展示会場自体は写真撮影が禁止でした。
高い天井を生かした素敵な会場づくりだったので、写真で記録できなかったのが残念。


この展覧会は展示の仕方や見せ方がとても瑠璃子好みでした。

会場の中心に直径数十メートルの巨大な大広間を設置。
1枚が3~4メートル四方ほどもある巨大な「貴婦人と一角獣」のタペストリー6枚連作がこの大広間の壁面いっぱいに飾られています。
大広間を囲む回廊には「貴婦人と一角獣」を読み解くための同時代のタペストリー等が補助的な意味を担って設置されており、観客は大広間と回廊を行き来しながら「貴婦人と一角獣」への理解を深めていくという仕組みです。展示数自体は少ないですが、一本通った思想を感じるいい作り。

日本ではあまり馴染みのない西洋中世美術。
個人の感性の美術というよりは、複雑な象徴化が散りばめられた記号の百科事典みたいな芸術というべきでしょう。
それを読み解くためには、雑多な有名品を並べ立てるだけでは充分ではなく、「タペストリーとは何か」「どのように作られ、どのように使用されたのか」「描かれた動物にはどのような意味があるのか」といったことを、訓詁の学問よろしくじっくり腰を据えて一つ一つ検証していく必要があります。

今回の展覧会の展示品選びと会場作りはまさにそのことを念頭に置いているところがとっても「いい!」と感じられました。


ただし・・・。
そのように中世美術を読み解くための展示でありながら、会場内いたるところに近代以降の作家の「貴婦人と一角獣」賛が飾られていたのは、テーマをぼかす結果にしかならないと思いました。
「おお、彼女の目は虚空を見つめる―リルケ」的な言葉は、まあ、カッコいいといえばカッコいいのですが、今回の展示ではむしろストイックに排除してほしかったです。
近代以前の、洋の東西を問わぬ、網の目のように複雑に絡まりあった学問や思考や社会の在り方。
「貴婦人と一角獣」はそうした時代そのものの象徴なのだ、とでもアピールすることが出来ていればこの展覧会は画期的な意味を持ったはずではなかったでしょうか。


お客さんが非常に少ない中、巨大タペストリーを堪能しました。
6面とも貴婦人の顔がバラバラ。美人が2人しかいなかったのは残念でした。
6枚600円の絵葉書をお土産に買いました。
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