スタミナ丼というのは店名でしょうか、料理名でしょうか。
「スタ丼」を掲げているお店は方々で見かけますが、そのすべてがチェーンなのかというとどうも違うような印象。
「伝説のスタ丼」というお店の明大前店にてスタ丼を食しました。
ああ、スタミナ丼よ!!
肉。ネギ。ニンニク。
これらを強い火で一度に炒めあげれば美味しくないわけがない!
アツアツの肉をアツアツのご飯にのせて食らいつく。
どう考えてもスタミナ丼というものは大なり小なりどんな人にでも訴求力を持つに違いない「ズルい」食品です。
・・・と思うのですが。
・・・ええ。
・・・なんでなんでしょうかねぇ。
いつも思います、スタミナ丼って、何かが足りない。
帰りが遅~くなった日。
馴染みのお店は軒並みすでに閉店。
牛丼かコンビニエンスストアのお弁当かと悩んだところ、ふと肉とネギとニンニクを思い出し胸に滾るものが溢れました。
「えいやっ!」と力強く「伝説のスタ丼」明大前店に入店。興奮のあまり写真がぶれています。
この日は雨。店頭の立て看板によると、雨の日の特別サービスとして
・サラダ
・肉増量
・「スタ丼」を「塩スタ丼」にグレードアップ
のいずれか一つを無料でお願いできるようです。
それならばとスタ丼に無料のサラダを付けてもらいました。
店内はいかにもチェーンの小奇麗さ。
壁面に大きく「掟」なるもの五条が書かれており、「食らいつくべし!!」みたいなことが暑苦しく語られていますが、正直なところ少年漫画でも恥ずかしくてあまり聞かれないような空言。
肉とネギとニンニクに心高ぶらせていましたが、急に過去のスタ丼体験を思い出してしまいました。
瑠璃子は過去、水道橋とどこでだったかでスタ丼を食べたことがあります。
「過去2度とも、『何かが足りない・・・』と思ったんだっけ。ひょっとすると今日も・・・」
そしてその思いは丼に手を付けてからいよいよ確信となったのでした。
う~ん・・・。
なんだろう。
なんなんでしょうねえ。
なぜかいつも期待を裏切ってくれるのがスタミナ丼。
多分きっと、肉とネギとニンニクを強火で一気に炒めあげるという部分に、夢見る熱血少年的な幻想を抱いてしまっているんでしょうか。
お店側も「かっこむべし!!」的な妄言を壁にでかでか掲げるくらいですから、お客にも増して率先して熱血少年的幻想に縋り付いているのは確か。
その割には小奇麗な店内と小奇麗な盛り付けに熱血が感じられず、料理自体も適度に美味しくまとまってしまっています。
その辺の完成予想と実際の料理・食環境の落差が、幻滅に繋がっているのではないかと。
その点二郎は優秀です。
二郎は単なるカロリーとしての食品ではありません。
ジロリアンにとっては、ヒーロー意識をもたらしてくれる心の栄養でもあるのだと思うのです。
「俺は、こんな汚い店で、こんなにたくさんの量の、こんな得体のしれない料理を食べ切ってやったんだぜ!」という。
「二郎はやべえww」とどんなにハードルを上げても、お店の汚らしさや料理の量が充分彼らの前に試練として立ちふさがる。彼らは猛然と二郎に挑み、喰らいつくす。ヒーロー意識が満たされます。
これこそが「かっこむ」とか「くらいつく」だと思うのです。
スタ丼には、それがありません。
料理自体が不味いわけではありません。こじんまりとながら、適度に美味しくはまとまっています。
しかし、だからこそエンターテイメントとしての食事たり得ていないのではないでしょうか。故にスタ丼はいつも物足りないのである、と瑠璃子は結論付けてみました。
・・・まあまた何年後かにはスタ丼屋の暖簾を興奮して跳ね上げるだろうと思うのですがね~肉とネギとニンニクの魔力はそれほど強力なのではあります。