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瑠璃子の福岡滞在はいつも中洲の「とり政」から。
時間がある限り必ず訪れる焼き鳥屋さんです。





さあ、何年前だったでしょうか、瑠璃子の初めての九州上陸。
東京を夜行の「ムーンライトながら」で発ち、東海、近畿、山陽と乗り継ぎ、出発から丸一日後、ようやく初めて南国九州の土を踏んだのは、今から七八年前でした。
「疲れた・・・何か美味しかもん食べたか・・・」 
博多駅前の手近なホテル投宿。荷を置いて中洲の屋台街に重い足を運びました。
その折に、何故か誘われてふらりと入った焼き鳥屋さん、とり政。

見た目は当時から煤けていました。厳しい生存競争を勝ち抜いてきた証です。
八年前、ここの焼き鳥とキャベツお代わり自由の仕組みに感動したからこそ、瑠璃子の福岡への第一印象は限りなく最高に近づいたといえるでしょう。
それ以来、機会があるたびにここを訪れています。今回も。
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店内は狭く、カウンターが10席ほど。2階に座敷があるようですが瑠璃子は上がったことはありません。
焼き場が正面に見える席に腰を下ろします。
目の前にはいつもの大将。初めて来たときに、右も左もわからない瑠璃子にいろいろと教えてくれたっけ。隣の席の長崎から遊びに来たという女の子二人連れと「こちら長崎から。こちら東京から」と引き合わせてくれたことが思い出されます。

まずは心身をこの町にシンクロさせる必要があります。
「瓶ビールと酢モツを下さい」
ドンッと気持ちよい音を響かせてエビスの中瓶がカウンターに置かれました。
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トクトクトク・・・。グビリ。
「ふぅ・・・」
ああ、体がようやくこの町の空気に馴染んできました。
「お帰り瑠璃子」。「ただいま九州」。


お通しのキャベツは酢醤油がかかった昔ながらの雰囲気。
これ自体がとても美味しいわけではありませんが、焼き鳥の合間につまむにはちょうど良くさっぱりしています。もちろんお代わり自由です。
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「酢モツ、どうぞ」 
湯がいたモツにネギが散らされ、ポン酢がかかっています。
焼き場がとても忙しそうなので、酢モツを相手にじっくり注文を練ることにしました。
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こじんまりとしたお店ですが、焼き場の網の上にはいつもたくさんの串が焼かれています。
ここはとにかく出前が多い。
頻々と電話がかかり、「はい・・・はい・・・3000円分ね、わかりました、すみません20分ほどかかります」。
お盆のような大皿に大量に盛り付けられた焼き鳥持って、「〇〇の注文、出前行ってきます!」と店員さんが駆け出していく姿がいつも見られます。
きっと近所のスナックやキャバクラに運ぶのでしょう。
とり政に来店したことはなくても、知らないうちにとり政の焼き鳥を食べていた人は多いに違いありません。
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さあ、瑠璃子も少しずつ夜を始めることにしましょう。
「シロをタレで3本、塩で3本ください」
「あいよ!」
初めてこの店に来た時、「白もつ」がなんであるかわかりませんでした。訊けばホルモン。
試しに食べてみたらこれが本当に美味しかった。まるで揚げたての春巻きみたいにカリッと焼きあがった表面。その内側はしっとりと内臓の脂の甘み。
それ以来、瑠璃子の注文では白もつが絶対的エースです。
まずは白もつのタレ3本が上がり、1本を手元の皿に移して噛み締めているうちに、塩3本も焼きあがってきました。
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途中で砂肝、ハツも挟みながら、つくづくこの町の料理は旨いと涙の出る思いがしました。
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このお店の焼き鳥は、安いものだと1本80円。
1本1本にボリュームはありません。ですが職人の技はこもっています。 

魚の干物の串等変わり種もありますが、基本的には極めてオーソドックスなメニュー。
さあ、瑠璃子の全品制覇の時も数年後に近づいてきたかな。 
長いスパンでゆっくりと付き合っていける。福岡訪問の喜びが凝縮したお店です。




 
とり政
夜総合点★★★☆☆ 3.2

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