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堂高しげる著「もえちり!」2巻。講談社。




ああ、この世は地獄。
愚劣で下劣な書物は地を覆いつくそうとするほど満ち溢れているのに、堂高先生の崇高なとある書物がまったくどこにも見つからないとは!
そう嘆いていた数年前から昨日までの瑠璃子に、暖かい言葉をかけてやりたい。
「瑠璃子、あなたの努力はきっと報われる。だから信じて進みなさい!」
そう励ましてやりたい。

そう、とうとう瑠璃子は堂高しげるの「もえちり!」2巻を入手したのです!
1巻は多くのブックオフで見かけることができます。しかし最終巻である2巻は、おそらく発行部数も少なかったのでしょう、雨の日も風の日もブックオフというブックオフを巡り続けても見つけることができませんでした。
それが、渋谷のブックオフに105円で鎮座ましましていたとは!

なんと長い日々でしたろう!
なぜか偶然手に取った「もえちり!」1巻に深い感銘を受け、以来堂高しげるの他の著書を漁り続けてきました。
堂高作品は萌えの衣を被った思想書である!
・・・とまでいうとアレですが、そうとでも考えなければ理解できない魅力に満ちています。
萌えの観点からすれば物語も絵柄もさしたる力は秘めておりません。
それでも堂高作品はなぜか強烈に輝いているのです。
付和雷同的で軽佻浮薄な青年を自画像としつつ、流行を追うことへの疑念を常に漂わせている堂高しげる。
「オタク界のバイカル湖」とでも呼ぶべき知識の広さと深さが歴史哲学家としての堂高しげるを造りだし、マーケティングだのなんだのを茶化す高みに彼をおいたのでありましょう。


ま、正直なところ1巻に比べて2巻は内容的に失速気味。
なので皆さんには入手しやすい1巻をお勧めします。
もしくは「全日本妹選手権」という得体のしれない題名の作品をお勧めします。


拝啓堂高しげる様。
最近はどの雑誌で執筆なさっているのでしょう。
先生ほどの才能が埋もれているのであれば、ああ、もう実にこの世は地獄です。