錦堂下高井戸店 20101207
煮魚つけめん熱盛り 800円
ある日の夜中のことである。
友人と池袋でさんざ酔っ払って、ホウホウノテイで下高井戸に帰着。
すでに12時を回ろうというところ。
商店街はマックロクロスケ。
「明日もあることだしさっさと布団にもぐりこむが吉だわ」
と駅からの家路を急ぐ。
しかし酔って目のふちをぽーっと赤く染め、いつもより胸元のはだけた色っぽい瑠璃子の姿を、低劣で愚劣で不潔な下高井戸の男どもが見逃すはずもなかった・・・
「よう!」
後ろから肩をつかまれた途端、さすがの瑠璃子も「キャッ!」と声を上げてしまった。
「よう!姉貴!今お帰りですかい?ゾル豚中将でさぁ!」
「ああ、ゾル豚!」
心底ほっとする。瑠璃子の妹分かつリアル妹である。
「今お帰りですかい?偶然!こちとら昼から働かされ通しのすきっ腹大将軍。
何処かで腹に燃料積まにゃあどうにもこうにも埒があかねえ!・・・おっと、雨だ、神のお導き!どこかの店で雨宿りが必要だ!ほら、さあ姉貴、はやく!」
驟雨とゾル豚に追い立てられ、家路と逆に駆け出してしまった瑠璃子・・・。冬の雨粒が夜中の路面を真っ黒に染めてゆく。
どこか・・・どこかへ・・・!
というわけでやってまいりました、錦堂下高井戸店。
とても既視感を覚える店内ですが、多分数日前に訪れたどこかの店とよく似てるのでしょう。
その店とこの店とは、所在地も多分同じで、何もかもが一緒なのですが、店員さんだけが違うので、二日と開けずに同じ店に来てしまったということにはならないと思うんですの・・・多分。
言い訳染みてます?
ふ、ふん!そんなこといいうと灰皿でお酒飲ますわよ
前回おいしかったので、今回も煮魚つけめんを。
ただし麺の熱盛りが出来るらしいのでそれをお願いしてみる。
ゾル豚は初入店とのことだ。それならやっぱり煮魚つけめんでしょこっちは普通の。
それにしても熱盛りというと、いつだって必ず平敦盛を思い出さないことはない。
盛者必衰の理や「人間五十年・・・」の信長の常套句や、とにかくなんだかつけ麺を食べるときいつも寂しい心境になるのは、この敦盛という言葉の喚起力のせいなのではないかと激しく思う。
料理到着。
ゾル豚はブヒブヒと夢中になって食べている。
「これはブヒなかなかブヒおいしいブヒ」
旨さのあまり焦って麺を口に運ぶが咀嚼が追いつかないので鼻の穴だの耳の穴だのに麺を突っ込んで喜んでいる醜態だ。
姉妹揃ってスープ割りもお願いし、十二分に堪能した。
店から外の様子を伺う。何とか小雨になってきたかしら。
さあて、帰るか。
瑠璃子の行方は、誰も知らない。
羅生門 完
煮魚つけめん熱盛り 800円
ある日の夜中のことである。
友人と池袋でさんざ酔っ払って、ホウホウノテイで下高井戸に帰着。
すでに12時を回ろうというところ。
商店街はマックロクロスケ。
「明日もあることだしさっさと布団にもぐりこむが吉だわ」
と駅からの家路を急ぐ。
しかし酔って目のふちをぽーっと赤く染め、いつもより胸元のはだけた色っぽい瑠璃子の姿を、低劣で愚劣で不潔な下高井戸の男どもが見逃すはずもなかった・・・
「よう!」
後ろから肩をつかまれた途端、さすがの瑠璃子も「キャッ!」と声を上げてしまった。
「よう!姉貴!今お帰りですかい?ゾル豚中将でさぁ!」
「ああ、ゾル豚!」
心底ほっとする。瑠璃子の妹分かつリアル妹である。
「今お帰りですかい?偶然!こちとら昼から働かされ通しのすきっ腹大将軍。
何処かで腹に燃料積まにゃあどうにもこうにも埒があかねえ!・・・おっと、雨だ、神のお導き!どこかの店で雨宿りが必要だ!ほら、さあ姉貴、はやく!」
驟雨とゾル豚に追い立てられ、家路と逆に駆け出してしまった瑠璃子・・・。冬の雨粒が夜中の路面を真っ黒に染めてゆく。
どこか・・・どこかへ・・・!
というわけでやってまいりました、錦堂下高井戸店。
とても既視感を覚える店内ですが、多分数日前に訪れたどこかの店とよく似てるのでしょう。
その店とこの店とは、所在地も多分同じで、何もかもが一緒なのですが、店員さんだけが違うので、二日と開けずに同じ店に来てしまったということにはならないと思うんですの・・・多分。
言い訳染みてます?
ふ、ふん!そんなこといいうと灰皿でお酒飲ますわよ
前回おいしかったので、今回も煮魚つけめんを。
ただし麺の熱盛りが出来るらしいのでそれをお願いしてみる。
ゾル豚は初入店とのことだ。それならやっぱり煮魚つけめんでしょこっちは普通の。
それにしても熱盛りというと、いつだって必ず平敦盛を思い出さないことはない。
盛者必衰の理や「人間五十年・・・」の信長の常套句や、とにかくなんだかつけ麺を食べるときいつも寂しい心境になるのは、この敦盛という言葉の喚起力のせいなのではないかと激しく思う。
料理到着。
ゾル豚はブヒブヒと夢中になって食べている。
「これはブヒなかなかブヒおいしいブヒ」
旨さのあまり焦って麺を口に運ぶが咀嚼が追いつかないので鼻の穴だの耳の穴だのに麺を突っ込んで喜んでいる醜態だ。
姉妹揃ってスープ割りもお願いし、十二分に堪能した。
店から外の様子を伺う。何とか小雨になってきたかしら。
さあて、帰るか。
瑠璃子の行方は、誰も知らない。
羅生門 完